月と太陽
この三階建てのデザイナーズマンションは、片桐という男のもので、三階部分は可那の名義だ。
この1LDKに集まるのは三人の他に、琴音とリリという姉妹と片桐、
この6人でひとつのグループとして『仕事』をしている。
元々は琴音とリリの姉妹、可那と萌乃、片桐と美月、という三つのバラバラな集まりだったが、
ある出来事をきっかけにこの6人がひとつのグループになった。
片桐は30代の半ばということもあり、一応6人の中でボス的な役割を担っており、
仕事の拠点としてこのデザイナーズマンションを一棟そのまま買い上げたのだ。
そしてその時に、可那の知らないうちに可那の現金も使われたのだった。
「でも半分以上は片桐の金でしょ。
つまり私の金でもあるわけ。
可那にとやかく言われる筋合いじゃないわ。」
再びアールグレイをすすりながら美月が言った。
「ここはあたしの名義なの!
お金の話じゃないの!公的な権利の話をしてるの!」
美月は無表情のままiPodに手を伸ばした。
「ちょっと!まだ話おわってないわよ!だいたいアンタはね、」
「まあまあ。お茶入れたから落ち着いて。」
萌乃がティーカップを可那に差し出した。