月と太陽
「まったく…。何着て打ち合わせいけばいいのよ…。予定狂わされるのが一番嫌い。
あ、これ、砂糖入れてないわよね?」
可那が萌乃の顔を除き込むようにして聞いた。
「うん。ミルクだけだよ。」
気持ち落ち着けるように「ふぅ」と一息ついてからティーカップを唇に近付ける。
「ケハッッ」
「きゃははははー!」
「なにこれ!アールグレイじゃない!!ちょっと待ちなさいよ萌乃!!」
萌乃が走って美月の陰に隠れるようにしゃがみ込む。
ガチャ━
「可那ちゃん遅いよー」
厚みのある下唇と泣きボクロが印象的な女が玄関を開けた。