君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
「あの…、私持ってないんです」

「え? ケータイ持って来てないのか?」

「というか…」

そもそも瑞希は携帯電話を持っていなかった。それを言おうとしたのだが…

「そうか…、じゃあ…」

達也は携帯電話をポケットに戻すと、その手で瑞希の手をギュッと握った。

「え?」

「はぐれると大変だから、こうしよう?(小さくて柔らかい手だなあ…)」

「はい。(大きくて力強い手だわ…)」


二人はしっかり手を繋ぎ、エスカレーターで2階へ上がった。

2階には沢山のショップが並び、華やかなレディース専門店も沢山あるようだが、どの店で瑞希の服を買えば良いのか、達也にはさっぱり分からない。

「なあ。いつも行く店とかあるか?」

「いいえ。ここに来たのは初めてだし、私、あまり洋服って買わないので…」

「そうなんだ…。じゃあ、ブラブラして、気に入った店があったらそこに入るか?」

「はい」
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