君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
「瑞希、これ、どう思う?」

「え?」

達也が指差したその黒のワンピースを見て、まず瑞希が思ったのは、やっぱり達也は黒が好きなんだな、という事だった。

達也が着ているジャケットも黒。達也から借りて瑞希が着ているブルゾンも正確には濃いグレーだが、ほぼ黒だから。

「素敵ですね。可愛い…」

「だろ? おまえに似合うと思うんだよね」

「私に? まさか…」

瑞希は今まで黒の洋服を着た事がなかったし(今着ている達也のブルゾンは別としてだが)、スカートも、制服以外では殆ど履いた事がなかった

傍目には可愛いと思う服だが、それを自分が着る事など、想像すら出来ない瑞希だった。


「いやいや、似合うと思うぞ。着てみてくれよ」

「えー? 無理です…」

「いいから、いいから…」

尻込みする瑞希だったが、強引な達也に手を引かれ、瑞希は仕方なくその店に入って行った。
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