君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
「あの、この服を試着したいんですが…」

「あ、はい」

店員は素早く瑞希に目を走らせ、サイズを判断するとハンガーに掛かった同型のワンピースから、瑞希に合うサイズの物を探し当てた。

「どうぞ、こちらになります」

店員に差し出された黒のワンピースに手を出し掛けた瑞希だったが、値札を見てその手を引っ込めてしまった。瑞希の感覚では、ゼロが一つ多かったのだ。

それを見た店員は、

(値札は最初にチェックしてよね!)

と、笑顔を作ったまま心の中で舌打ちしていた。


「どうしたの? 着てみろよ」

瑞希は達也が値段に気付いてないのだと思い、値札を指差し、「高いわよ」と目で訴えた。
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