君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
少しして、試着室から恥ずかしそうに出て来た瑞希を見て、達也はその可愛いさに息を飲んだ。

「まあ。可愛らしいですわ…」

店員の女性も、お世辞ではなく本心からそう言っていた。

「うん、すごくいいよ。それに決めていいよな?」

「はい…」

「このまま着て帰りますので…」

「はい、かしこまりました」

ハサミでタグを切り取った店員が、瑞希の足元を見て、達也に何か言いたげな視線を送って来た。

「え? あ、ああ、靴がこれじゃ変ですよね?」

「ええ、ちょっと…」

瑞希は白いスニーカーを履いていて、当然ながらワンピースとマッチしていない。

ちょうど黒で、サイズが合い、大人っぽすぎずにヒールも低めなパンプスがあったのでそれも買う事にした。

更に黒のレザーバッグとアイボリーのスプリングコートも買い、全て合わせると相当な金額になってしまった。
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