君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
「ありがとうございました。またお越しくださいませ」

店員に満面の笑顔で見送られ、二人は店を後にした。


「一ヶ所で全部済んでラッキーだったな?」

「そんな…」

上機嫌な達也とは対照的に、浮かない様子の瑞希だった。

「どうした? あ、何か足りない物があるのか?」

「違います。十分過ぎるくらいです」

「そう? なら、良かった」

「あの…、全部でいくらしたんですか?」

「ん? プレゼントの値段は、聞いちゃいけないんだぞ」

「でも…」

「大した事ないから、気にすんなよ」

「大丈夫なんですか?」

「何の事?」

「ご両親から怒られたりしませんか?」

「え? 大丈夫だよ。俺が何に金を使ったかなんて、親父達には分からないから。わざわざ言わないし…」

そう言った達也の声に、寂しさがあるように瑞希は感じた。
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