君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
ショッピングモールの1階に下りた二人は、食料品売場へ行き掛けたが、不意に達也が足を止めた。

「あのさ、今夜は外食にしないか?」

瑞希はポカンとした表情で達也を見つめた。

「なんかさ、これから帰って飯作るのは、めんどくさいかな、なんて思ったりして…」

“夕飯は私が作りますよ”と言おうかと思ったが、ある事を思い付いてそれは止め、「いいですよ」と瑞希は言った。

「その代わり…」

「ん?」

「あの…」

瑞希は何やら言いにくそうにモジモジしている。

「どうした?」

「はい。えっと、や、安いお店にしてください」

「安い店? なんで?」

「それは…、達也に洋服とか、いっぱい買ってもらっちゃったから、せめて夕飯ぐらいは私が奢りたいかなと…」

「そんな事…。気にすんなって言ったろ?」

「お願いします!」
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