君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
「あのさ、鼻で息をすればいいんだよ」

「鼻で?」

「そう。そうすれば苦しくないだろ?」

「そうなんだ…」

「それにさ、キスって、気持ちいいんだぞ」

実は達也自身、キスがこんなにも気持ちいいと思ったのは今日が初めてだった。

そもそも、自分からキスしたいと強く思ったのも今日が初めてだったのだが、それは瑞希が相手だからという事に、達也はまだ気付いていなかった。


(気持ちいい? そう言えば、息が苦しくなる前は、嫌じゃなかったな…)


そんな事を思っていたので、達也に「試してみるか?」と言われ、瑞希はコクンと頷いていた。

ゆっくり近付いて来る達也の綺麗な顔に見とれていると、「目を閉じて?」と言われ、瑞希はそっと目を閉じた。
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