君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
「家を買うとか?」

「まさか!」

「だよな?」

照れて笑う達也だが、そう見当違いでもないかなと瑞希は思った。なぜなら、瑞希が働く理由は、進学と独立の費用を捻出するためなのだから…。


「じゃあ、出かけるか? 今日は天気いいらしいし」

「うん、いいよ」

(勉強は諦めよう…)

「どこに行こうか? 行きたい所とかあるか?」

「ううん」

「そっか…」

(ん……、あ、あれを観に行くか!?)

達也は今日が封切で、圭介と観に行くはずだった映画の事を思い出した。

「なあ、映画観に行かないか?」

「映画って…映画館?」

「当然そうだけど?」

「うん、行ってみたい」

「よし、決まりな」

達也は瑞希の言い方が少し変だなとは思ったが、それは瑞希が映画館で映画を観た事がないからだ、という事には気付かなかった。
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