君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
(家を出て、達也を頼ろうと決意したあの日。

バイト先から真っ直ぐに達也のマンションへ行けば良かったのに、私は荷物を取りに家へ戻ってしまった。

大きなショルダーバッグに参考書や着替えを詰められるだけ詰め、こっそり家を抜け出そうとしたところを、義父に見つかってしまった。

「おまえ、そんなデカイ鞄を持ってどこへ行くんだよ? 家出か?」

「わ、私はどうせ厄介者なんだから、出て行ってもいいでしょ?」

「今まではそうだが、これからは違うんだよ。なあ?」

母が来て、「そうよ。これからは育てた恩を返してもらわなくちゃ」と言った。

私は、恩を感じるほど親から何かをしてもらった記憶はないのに…

「私の貯金を盗ったんだから、もういいでしょ?」

私のこの言葉が義父を怒らせたんだと思う。

「あんなはした金で偉そうに言うな!」

あっと思う間もなく、私は顔に衝撃を受け、壁まで体が吹っ飛んでいた。

そして、襖につっかえ棒をされて、部屋に閉じ込められてしまった。私が逃げないように…)
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