君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
「悪いな、急に」

「いいえ」

父親が真っ直ぐリビングに行くと、ソファーで勉強をしていた瑞希は慌てて立ち上がった。

父親は瑞希に一瞥をくれると、達也を睨みつけた。

達也の目付きの鋭さは父親譲りだ。その父親の鋭い視線に怯みそうになる達也だが、それをぐっと堪え、真っ直ぐに父親を見返した。

「こちらは恋人の中山瑞希さんです」

「ふん」

「瑞希、悪いけど向こうの部屋に行っててくれないか?」

「あ、はい」

「いいや、それには及ばん。お嬢さんにもいてもらいたい」

瑞希が達也を見ると、達也は小さく頷いた。

達也は、この後の父親とのやり取りを、出来れば瑞希に見せたくなかったのだが…
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