君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
達也はすぐに瑞希の前に戻り、瑞希は、潤んだ瞳で達也を見上げた。

「どうした?」

「違うんです」

「ん?」

「私、帰るんじゃないんです」

「帰らない?」

「はい。あ、アルバイトに行くんです」

「……?」


達也は瑞希の話を咄嗟には理解できなかった。

それは、幼子のような瑞希と、“アルバイト”という言葉が持つイメージが、ひどく掛け離れているように思えたからだ。

「ああ、バイトね。へえー、中山さんはバイトしてるのか…、偉いなあ」

達也は目を細めると、優しい笑顔を瑞希に向けるのだった。
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