君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
「じゃあ、俺は教室に戻ります」

「はいはい。授業が終わったら中山さんの鞄を持って来てね?」

「分かりました」


保健室を出ようとしてドアノブに手を触れたところで、達也はある事を思い出した。それは、瑞希のアルバイトの事だった。


「先生……」

「ん?」

達也は春田を振り向いたが、言うべきかどうか迷った。

(うちの学校って、バイトは禁止してんのかなあ…)

達也はアルバイトをした事がなく、しようと思った事もない。そのため、校則で禁止されているのかどうかも知らなかった。

瑞希が書店でアルバイトをしている事を、春田に言うべきか迷った。
もし禁止されているなら、瑞希が窮地に立たされる。でも、瑞希にアルバイトを休ませるには、春田の協力があった方がよいだろう。

「どうしたの?」

「………」

「あ、もしかして、中山さんのバイトの事?」
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