君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
春田が出てドアが閉められると、車内はたちまち静寂に包まれた。

「先生は何を買いに行ったんだ?」

達也がそう問い掛けると、瑞希は「それは…」と言ったきり赤い顔で俯いてしまった。

「色って、何の色だ?」

そう聞くと、瑞希の顔はますます赤くなっていった。

「まあいいや。それより、中山さんを虐めたのは誰なんだい?」

瑞希はハッとして達也を見たが、達也の怒ったような真剣な目を見て、すぐに視線を外してしまった。

「分かりません…」

「分からないって、どういう事? 当然、顔を見たんだろ?」

「知らない人達でした」

「そうか…、何人?」

「たぶん3人…」

「3人か…。顔を見れば分かるよね?」

「……もう、いいです」
< 91 / 258 >

この作品をシェア

pagetop