ゆー君のゆーうつ。
気がつけば、7月。
出会った頃は咲いていた桜も、すっかり緑色の葉を茂らせていた。
そしてそれは、夏休みに入る前の日のことだった。
いつものように登校すると、いつものように笑顔を浮かべる吉田未来が下駄箱にいた。
『ゆー君、おはよう!明日から夏休みだね!』
「おはよう。あんたは…何の理由もなく、夏、好きそうだよね」
『夏?うん!だーい好き!だって楽しいこといっぱい!海に、花火。縁日。わくわくするよっ。』
出会ってから3ヵ月。
そうだな。
なんだかもう、うっとうしいと言うよりは、つきまとわれるのも、吉田未来のバカさにも慣れてきた、の方が正しいかな。
我ながら、すごい順応性...。
なんてね。
そして、その日の放課後も、日課としている図書室での勉強をしていた時だった。
勉強を始めて30分。
普段ならそろそろ満面の笑みを浮かべた吉田未来が図書室のドアを開ける時間だ。