ゆー君のゆーうつ。
廊下は走らない。
まるで小学校のような、そのポスターの横を気にせず、全速力でかけ抜ける。
1年生の教室がある棟の階段を下りると、その長い廊下の端っこに、彼女はいた。
「未......」
名前を呼ぼうとして、辞めた。
小さなその姿は、誰か背が高く、ガタイのいい、野球部っぽい男といたのだ。
背が高い男のせいで、未来の小ささは際立つ。
男は、未来の頭を撫でていて、当の未来の方は少し涙ぐんでいる。
なんだか、照れているように見えなくもない。
「……んだよっ……」
オレのこと、好きだって言って、追っかけてんじゃねーのかよ。
毎日来てた図書室を忘れるくらい、その男がいいのかよ。
なんだか急に、怒りにも似た感情が込み上げてきた。