右肩越し。
確かに今日は暑い。


四月じゃないみたい。


洗濯物を干しながら、日
焼けを心配した。


「おねえさ-ん!!」


洗濯物の間から、若い男
の子がニコニコしながら
手を振ってる。


工事現場の作業の子だ。


「飲み物ありがとうござ
いました!!助かります♪
有り難く!!頂戴します」

「あ、いえ、どうぞ…ッッ
てかわざわざどうも」


あの人とは違う人。


でも愛想のいい、爽やか
な人だった。


ちょっといい事したな、
なんて思った。


喜んでくれたなあ、なん
て思ったら嬉しくなって
洗濯物を干す手も、軽く
なった。


「し-の-ぶ-」


今度は誰だ…いや、あの
声は…


ああ、やっぱり果夏。


「おはようさん、マブダ
チ。」

「おはようさん、果夏」


果夏は保育園の頃からの
付き合いで、家も近所。


子供も友姫の一個下の男
の子で、よくあたしたち
は一緒にいる。


「忍、今日早いじゃん。」

「前が工事で寝れません」

「案外デリケートな件に
ついて(笑)」


今日は果夏も休みなのか
、勝手に人の家の縁側に
座り込んでいる。


「忍、今日暇な訳?」

「暇といえば、暇。」

「前の工事現場で粘ろう
ぜ★」

「果夏、アホ?旦那いる
だろ、アンタ」


同じ事思ってた。


初めて会って、工事終わ
れば二度と会わないかも
知れないのに。


ああ、あんな男なら一緒
にいてみたい


なんて馬鹿げた直感を、
あたしは働かせてたの。
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