FLOWER PRINCESS
第1章~最高で最悪な舞踏会~
「はぁ・・・なんでこんなところに来なくちゃいけないのかしら・・・。」
1人、バルコニーで夜空を見上げてため息をつく女性がいた。
純白の白いドレスに、
胸元には今は亡き母の形見のダイヤのネックレスをかけている。
漆黒の長い髪に、透き通った白い肌。
淡いブラウンの瞳をしたのは、
オリヴァン王国に代々住む公爵家三女、
ミラ・バーノンだ。
「もう、舞踏会なんてつまらないわ。なんでお姉さまたちはそんなにもして舞踏会に行きたがるのかしら。」
自分で呟いてみても答えは分かりきっている。
月に1度、開かれるオリヴァン王国の舞踏会。
爵位持ちの家にしか招待状がわたされない舞踏会。
それは、王子の婚約者を見つけるために催しているだけ。
そんなことなど、ミラにとってはつまらなくて、
迷惑を被っているだけ。