踊れ その果てで
「解ったから、諦めたんじゃないの?」

「さあ、どうかな」

 叶わなかった俺の望み。だが、別のモノを得た感覚だ。

「生きていて──」そんな、菜都美(なつみ)の声がした気がした。

 聞こえるハズもない声に、俺は従おうとしている……。

「お前も、こんな仕事からは早く足を洗え」

 戒は翼の頭にポンと手を乗せ、小さく笑った。

「戒……」

 緩やかな瞳を翼に下ろし、次に真仁を険しく見やる。
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