踊れ その果てで
◆最終章
*草原の果て
それからさらに1週間後──戒(カイ)は、モンゴルの平原を見渡していた。
かつて恋人と訪れた、果てまで続く大草原を……。
「……」
目を細め、その緑の大地を眺めた。
近代化が進んでいるモンゴルだが、この草原だけは自然保護区として維持されている。
しばらくそうして草原を眺めたあと、バギーにまたがって平原を走る。
「!」
遠くに人影がぽつりと見え、自分と同じような物好きがいるのかと感心した。
広い保護区の端、観光客も滅多に訪れる事の無い場所に人がいる事は驚きだ。
「!? まさか……?」
徐々に距離が縮まり、大きくなるその影に見覚えがある。
そんな事がある訳がない──そう言い聞かせるが、その影は戒の姿を見て手を振った。