踊れ その果てで

*微笑みの向こう


「戒!」

「翼か!?」

 嬉しそうに駆け寄る翼に戒は驚き、バギーから降りる。

 青年は目の前まで来ると、少し荒くなった息を整えながら戒を見上げた。

「何故ここに」

「僕も辞めてきた」

 目を丸くしている戒に、ニコリと笑みを浮かべる。

「両親はどうした」

 少し怒った口調に小さく笑んで、拡がる大地を視界全体で捉えた。

「2年前に2人とも死んでるよ」

「!」

 それに少し驚き、目を合わせようとしない翼に溜息を吐く。
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