踊れ その果てで
*翼という男-つばさというおとこ-
ひと仕事終えた戒(カイ)は、ハンターたちの集まる組織の建物の一室に足を踏み入れた。
いくつかの長机にパイプイスとコーヒーメーカーが置かれただけの、質素でコンクリートの壁がむき出しの部屋だ。
およそ20名ほどがくつろげる広さになっている。
あまり話のしないハンターたちだが、何故か1人だけ戒に親しく接する男がいた。
鬱陶しく思いながらも、戒はその青年にきつくあたる事もなく彼の話を意識半分で耳にした。
「今日も仕事だったの?」
その青年──翼(つばさ)と名乗っている男は、戒の目を見つめニコリと笑った。
「ああ」
コーヒーの入ったカップを長机に乗せタバコを1本、取り出す。