踊れ その果てで
「俺の金じゃない。運が良かっただけだ」

「どこに行ったの?」

「どこだったかな」

 戒は少し考えるような仕草をして、とぼけるように応えた。

「も~、戒ってばいつもそうなんだから」

 翼はそれに、むくれた表情をしてまた笑う。

「ずっと昔の話だ」

 戒は立ち上がり、翼に別れを告げてマンションに向かった。


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