踊れ その果てで
「お前さんにも、理由はあるんだろう」

 それには応えず、ただ視線を外していた。

「お前さんはまだ若い。私のようにはなりなさんな」

 もうクローンを殺すのに疲れたんだよ……瀬木はそう言って、背中を小さく丸め部屋から出て行った。

「勝手なこと言いやがって」

 戒は苦々しく入り口を睨み付け、口の中で舌打ちした。

「戒がここにいる理由って、恋人が死んだとか?」

「!?」

 翼の言葉に、戒は目を丸くする。

「割と多いから……そういう人」

「知ったふうな事を!」

 翼に言い放ち、部屋をあとにした。


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