踊れ その果てで
 至る所に設置されている隠しカメラの利用は、どう使おうと自由だ。

 真仁は戒の動きがより狡猾(こうかつ)に、美しくなるなら喜んで出来る限りを提供する。

 戒は、映し出された相手の後ろ姿をじっと見つめた。

「なるほど、押していくタイプだな」

 ならば……と、戒は腰の背後に装備されているもう1丁のハンドガンに手を伸ばした。

 大きめのグリップに顔をしかめる。

「多少の怪我は我慢するか」

 そう言って、勢いよく壁から離れた。

「!」

 相手の男は、それにハンドガンの引鉄(ひきがね)を引きまくる。

 それをモニタールームから眺めている真仁は、喉の奥から笑いをこぼし画面に見入った。

「クク、そんなの戒には当たらないよ」

 口の中でつぶやき、戒を見つめる。


< 38 / 110 >

この作品をシェア

pagetop