踊れ その果てで

 雨でぬかるんだ地面は、動きを鈍くさせる。

 戒は足を捕られないように注意しながら、ハンドガンを構えて駆け出した。

 1発、放てばいい──外さないようにしっかり照準を合わせ、反動を考慮して引鉄を引く。

「ぎゃあ!?」

 男の声が上がる前に、その弾丸は男の右肩を破壊した。

 激痛でへたり込む男を確認し、オートマティック拳銃『デザートイーグル』を仕舞いリボルバーに持ち替えて男の頭に銃口を向ける。

「ひっ……ひっ……」

 痛みで目を見開き、もはや苦しみのみが男を支配していた。

 戒はそれに苦い表情を浮かべ、引鉄をゆっくりとしぼる──乾いた音が響き、男は力なく横たわった。
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