踊れ その果てで
「まあ、彼が死んだらクローンでも造って売りさばくよ」

 この時代、クローンをある程度まで成長させる事が可能である。

「しかし……」

 直貴は眉をひそめ、ディスプレイを一瞥したあと真仁に発した。

「見た目はもっとマシにしろと言っておけ」

「? そう?」

 キョトンとした青年に、呆れたように溜息を吐き出す。

「もっと食べさせろ。それと、髭(ひげ)も剃れと言え」

「ああ……それもそうだね。ヒゲを剃れば、なかなかイイ男なんだよ彼」

「その方が客も増える」

「言っておくよ」

「タバコを止(や)めさせれば太り出す」

「ん~、それ難しいね。戒に至っては」

 困ったような顔をして頭をポリポリとかく真仁に、直貴は少し睨みを利かせる。
< 49 / 110 >

この作品をシェア

pagetop