踊れ その果てで


 太陽は真上よりやや斜め、14時を少し回ったところか。

「……」

 戒は、開かれた扉に吸い込まれるように体を滑り込ませた。

 いつもと同じ高い塀は、広大な敷地内にあっても反対側の壁が薄く視界に捉えられる。

 全てを遮断された世界──獲物として殺されるだけの存在、風俗や玩具としてのクローンなら、それなりの教育は受けられる。

 だが、ここに詰め込まれているクローンたちは『家畜』として生かされているだけだ。

<前方にハンターがいるよ>

「!」

 真仁の声にハッとする。
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