踊れ その果てで

 モニタールーム──

「まず1人か」

 真仁はディスプレイを見つめ、ぼそりとつぶやく。

 今までにない慎重な戒の動きに、その瞳を潤ませた。

 やっぱり、素晴らしいね……口の中で発する。

 狡猾でなめらかな黒豹は、小綺麗にしたせいもあってその存在感をさらに高めていた。

「君が言ってくれたおかげだよ」

「どういたしまして」

 画面を見つめながら発する真仁に直貴はしれっと応えて、乾いた会話を交わす。

 戒の所属していた特殊部隊は確かに、ずば抜けた精鋭ばかりを呼び集めて組織されていた。
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