踊れ その果てで
 大きなガラス管に浮かぶクローンたちは管理され、それぞれに納品・保管されていく。

「それでも──」

<なに?>

 人とクローンは変わらない、産まれ方が違うだけだ。

 同じように教育すれば、どこも違いはないはず。

 現に風俗にいる女の何人かは、客から知識を得て人間と見分けが付かないと聞いた。

 いつか、クローンたちは生物の生存としての模索を実行するのかもしれない。

 戒はそこまで考えて1度、目を強く閉じた。

「最低、あと2人は倒す」

<期待してるよ>

 傾きかけた太陽を背にして駆け出した。


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