踊れ その果てで
翼(つばさ)は部屋で1人、目の前の冷めたコーヒーにぼんやりと視界を合わせていた。
青年の静かな息づかいだけが部屋を満たしている。
「戒……」
つぶやいて強く瞼を閉じた──クローンといえど、殺す事に抵抗が無かった訳じゃない。
それでも、高額な報酬が得られるハンタードッグの魅力に惹かれない者はいない。
翼もその1人だった。
何の知識もなく武器を手にした訳じゃない。
このご時世だ、銃の1つも扱えないようでは生きてはいけない。
それがいつの間にかハンタードッグという仕事を紹介され、この組織に属し可愛い顔立ちにロリコン趣味の金持ちからは人気が上がった。