踊れ その果てで
「……くそ!」

 小太りの男は意を決し、持っているハンドガンを構えて飛び出した。

 ギロリと睨みを利かせるが、瞳の奥に微かな不安を宿している事を戒は見抜いていた。

 す数秒の沈黙のあと──戒の背後で別の男がハンドガンを構えた。

 左に隠れていた男だろう。

 共に40代ほどだろうか、2人の目元が似ているところを見ると兄弟か。

 イレギュラーの話は聞いているらしく、

「それならば兄弟で立ち向かってやろう」という結論に出たようだ。

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