踊れ その果てで


 モニタールームをあとにした戒は、苦い表情を浮かべうつろに足を進めていた。

「だから、その貯まったポイントで雪ってクローンを自由にして欲しいと兄に頼んでいたのさ」

 ビルの通路を歩く戒の頭に、真仁の言葉がこだまする。

『心』を持てば罪になる──玩具としてなら、それは当然なのかもしれない。

 クローンはコピーではない。

 そんな事が出来るほど人の遺伝子は単純ではなく、育った環境や性格によっても容姿は変化する。

「違いはなんだ?」

 俺には解らない……戒は2~3度、頭を振って足早にマンションに向かった。
< 92 / 110 >

この作品をシェア

pagetop