踊れ その果てで
モニタールームをあとにした戒は、苦い表情を浮かべうつろに足を進めていた。
「だから、その貯まったポイントで雪ってクローンを自由にして欲しいと兄に頼んでいたのさ」
ビルの通路を歩く戒の頭に、真仁の言葉がこだまする。
『心』を持てば罪になる──玩具としてなら、それは当然なのかもしれない。
クローンはコピーではない。
そんな事が出来るほど人の遺伝子は単純ではなく、育った環境や性格によっても容姿は変化する。
「違いはなんだ?」
俺には解らない……戒は2~3度、頭を振って足早にマンションに向かった。