キスしかいらない
やだ…。


嫌だよ。
天久さん。

私、急いで大人になるから。
誰かのものにならないで。

好きって言える日が来るまで、誰のものにもならないで…。




呑気に新聞のスポーツ欄をチェックしてるお兄ちゃんが憎ったらしくて。

ポカポカ分厚い背中を叩いた。

「あー。肩たたきご苦労」

…超イラつく!



♪ピンポーン♪

「はぁ〜い」
お母さんが嬉しそうに玄関に向かう。


「ほれ、天久が来たぞ」
お兄ちゃんはそう言いながら、いそいそとビールを冷蔵庫から出しはじめた。
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