嘘つき【-ring-】
待ち合わせ場所までは此処から歩いてすぐ。空は闇に色を変えて、それでも煌々と押し寄せる街の明かりは賑やかに彩っている。
流れるクリスマスソングが頭でリフレインしながら、焦る気持ちと同時に沸き上がる浮いた気分。
行き交う恋人同士は、やっぱり自然体で気を許した表情が何だか眩しかった。
私もあんな風に彼と接しているように見えるかしら?
そう有りたいけれど、何だか途方もなく難しい事のように思えて、どう頭を捻っても客観的に自分を見れない。
だけど、彼の事を考えれば、胸が締め付けられるように疼いた。