糸を手繰って
いつもなら何も考えなくても弾む会話なのに、あたしはリンカの話にまったく集中できなかった。


後ろが気になっちゃうんだもん。


チラチラ背後を見る度に、ヨッシー先輩と目が合いそうになる。


目が合う前にあたしから反らすんだけどね。


先輩の表情は読み取れない。


リンカがあたしの制服を引っ張って顔を近付け、声を落として言った。


『ミチカ、なんか意識しちゃってる感じ?』


『い?意識ー??!』


しまった!また叫んじゃった!


後ろから“くっくっく…”と笑いを噛み殺す音が聞こえてくる。


なんという恥ずかしさ。


『えーっとミチカちゃんだったよね?ツボるー。リンが言ってた通りの子だよな。』


私は驚いた。


『ねぇねぇねぇ!なんでヨッシー先輩があたしのこと知ってるの?リンカしゃべってるの??』


『まぁまぁ。落ち着きなよ。確かに話に出たことはあるかもね。素直で可愛くて大好きな親友って。』


途端に顔が火照るのを感じた。


褒められ慣れてないから、どうすればいいか分からなくなる。


そんなあたしを見て2人とも爆笑。


あれ?これっていじられてる?


やっぱり2人には同じ血が流れてるんだ、と思った。


ちょっとだけヨッシー先輩が怖くなくなってきた。
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