糸を手繰って
それから3人で帰り道にコンビニに寄った。


近くの公園のベンチでアイスを食べながらお互いのことを話した。


先輩は山登りが好きらしく、だから色黒なんだとか。


見たまんまのワイルドな人なんだね。


そんな話の途中でおもむろにリンカがナルセ先輩の話をしだした。


『ヨッシーってナルセ先輩と仲良いでしょ?いつもどんな感じー?』


そういえばナルセ先輩の友達なんだよね。


うっかり忘れてたけど。今朝の恥ずかしい事件はヨッシー先輩がナルセ先輩と一緒に居たから起こったわけで。


『なに?リンでもナルセに興味あるんだ?狙うなよ。』


『ハァ〜?あたしに彼氏いるの知ってるでしょ?その興味じゃなくてー、人気者はどんな感じかなっていう好奇心だよ。聞きたいよねー、ミチカ?』


『え?う、うん。』
うつむいたあたしに見えるのは自分の右手小指の糸。
今も微かに光っているようだ。


それを見て、なぜかヨッシー先輩にはナルセ先輩が好きってことを知られたくないって思ってしまった。


なんだろう。


恥ずかしいから、だよね。


曖昧な返事をしてしまったあたしを見ながらヨッシー先輩はリンカをたしなめた。


『ミチカちゃんは興味なさそうだぞ?人を巻き込むな。』


『えー?だって、』


『あ、先輩!あたし聞きたい!有名人なんて身近にいないし、どんな人かなって思うもん。』


余計な一言をリンカが言いそうな気がして、慌てて口を出す。


かえっておかしかったかな…。
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