糸を手繰って
『『は?』』


2人が口を開いたまま固まった。


ついでにあたし自身も。


我に返って、慌てて弁解に走る。


『あ、って違くて、えっとナルセ先輩のこと!』


2人は同時に噴き出した。


『えー?何、あんたナルセ先輩がお気に入ってたのに、ヨッシーにオちちゃった系?あんだけ“他の人は目に入らない”って言ってたのに!』


そうリンカが笑いながら暴露すれば、ヨッシー先輩は更に爆笑しだした。


『やっぱミッチーはナルセ狙いだったかぁ。でも俺に傾いてるならこっち来いよ。』


そう言ってあたしの肩を抱いた!


って、なに?ミッチーって?この手は一体?


目を白黒させていると肩を震わせお腹を押さえる2人。


ついに咳き込むリンカ。


なんかあたしって笑われすぎじゃないかな。


ちょっといじけ気味である。


なんだかヨッシー先輩に密着されてるのもどうでもよくなってきちゃった。


どうせからかわれてるだけなんだから。


悲しいけど、きっとそうだね。


そう思ったら居ても立ってもいられなくて、あたしは座っていたベンチから立ち上がった。


『あた、あたし、帰るね!お母さんに早く帰ってきてって言われてたの!じゃあね!』


2人の返事も聞かずにそのまま駆け出した。


耳には2人の笑い声が残っていた。
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