糸を手繰って

『ミチカにもそういうコ早く見つかるといいわね。』

お母さんはのんびりとそう言いながら、あたしに野菜ジュースを手渡してくれた。


テーブルに両親が揃ったことでふと気付いた。


『お父さんたち、指が…』


『え？何？さっきからやたらと指を気にしてるけど、どうかしたの？』

不思議そうに訪ねるお母さん。


あたしは答えるより、両親の右手小指に気を取られていた。


だって！


両親にも赤い糸が付いていて、それは微かに金色に光っていたから。


それもお互いが近づくたびに、強い光となって、お母さんがトーストの乗ったお皿をお父さんに手渡した時には糸の先がくっついた！！


２人はそんなことには全く気付いてない様子で、いつも通り見つめ合ったり、何気ない会話を交わしている。


もしかしたら…これは口にしてはいけないことなのかな？


そう思ったあたしは、こう言った。


『なんか親指が痛いような気がしたけど気のせいだったみたい。』


お母さんは、あらそう、とあっさり返事をした。


『ミチカまだ着替えてないけど大丈夫か？』


『ふぇ？あ、やっばーい！』