糸を手繰って
黙って先輩を見つめると、照れたような顔で見つめ返された。


その時、後ろから『ヨシ!』と呼び声がかかった。


ちょっとびっくりして振り返ってみるとナルセ先輩が手を挙げながら近付いていた。


途端に落ち着かなくなるあたしの心。


とにかく“どうしよう”しか思い浮かばないよ。


ヨッシー先輩を見ると不機嫌そうに『あいつタイミング悪すぎ』とつぶやいていた。


そりゃぁ、今から話そうとしてた所に割り込んでこられたからね。


でも友達なんだからそんなに嫌がることないのに。


やっぱりヨッシー先輩っておかしい。


ナルセ先輩はヨッシー先輩の態度なんてお構いなしにニコニコしている。


そしてあたしに気付くと驚いたようで“あ”と口を開いた。


やっぱり覚えられてるのかな。昨日の変な子って。


でも先輩は、『あ、どうも。』なんて言って、すぐにヨッシーに顔を向けた。


気付いた訳ではないみたい。
少しだけホッとした。


『ヨシ、この子って例の子じゃね?もしかして今から、』


『っと、邪魔すんなよ。早く帰れ。』


『いやいやいや、そこは見学させてくれよ。』


『マジで勘弁してくれ。』


焦ったヨッシー先輩となぜだかにやけて余裕のナルセ先輩。対照的な2人をじっと見つめる。


じゃれあってるようで、完全にあたしの存在を忘れちゃってる。
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