糸を手繰って
『なぁ、半分に割ってくれねぇ?オレうまいこと分けるのとか苦手で。』


あたしの様子に気を配る感じではない先輩が普通に話すから、あたしも答えるしかない。


『えっとー、いいよ。』


そう言いながらドーナツを紙と一緒に持って割った。


ほぼ半分コ、かな?


『うーん…こっちのがほんのちょっと大きいからミッチーにやるよ。』


『ありがと。』


2人で分けて食べるドーナツは甘くて幸せな気分になるものだった。


先輩も甘いもの好きなのかな?今度はケーキを一緒に食べたい、なんて思ってしまった。


唐突に先輩が謝ってきた。


『ミッチー、昨日から色々とごめんな。なんかオレおかしいヤツだと思っただろ?』


『そんなこと…ない。あたしの方がヘンなコだもん。』


『やっ、ミッチーはかわいいし、さ。オレはそういうところがいいかな、って。』


驚いて先輩の顔を見ると目を逸らされた。
顔が赤い。


つられてあたしも恥ずかしくてまた俯いてしまう。


なんて言おうか考えたけど、さっきからずっと気になっていたことを訊いてみた。


『先輩の素の顔ってどれなんですか?』


『え?』


あたしの言った意味がわからなかったらしい先輩に、説明した。
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