糸を手繰って
『いやぁ〜〜〜〜〜!』


思わずリンカを置いて逃げ出したあたしは、完全に不審者で、だけどそんなことに構っていられないぐらい焦っていた。


アリエナイアリエナイアリエナイ…


あんな人と赤い糸がつながってるの?


イヤイヤイヤ…


一言で言えば“ムリ!”


そう考えている内に走るのが苦しくなったあたしは、ゆっくり足を止めてそれから歩き出した。


それとともにあたしの頭も落ち着いてゆく。


今のあたしってば完全に“おかしなコ”だよ。


赤い糸の相手のことよりそっちのがヤバいんじゃないの?


そう思うと、顔に熱が集まって胸はドキドキ鳴りフワフワしている感覚になってくる。


どんだけ恥ずかしいことしちゃったんだろう。


ナルセ先輩にも変人と思われただろうな。


逃げたい。


一生先輩に会えないよ。


ジェットコースター並にテンションを上げ下げしたあたしは疲れてしまって、その場から動けなくなった。


とりあえず教室まであと少しの階段に腰を下ろすことにした。


変な目で見ていく同級生たち。


だけどそれよりも先輩と顔を合わせられないことの方がショックだ。
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