モノトーン


「風強くね?」
気がついたら隣で玲大が鼻をすすってた。


肩並べて歩くのも久しぶりだぁ。


「寒くなってきたね〜っ。」

『桜散っちまうかもな。』
桜を見上げて立ち止まる玲大の顔はなんか寂しそうで

普段桜が散ったってなんとも思わないけどこの時だけは

もっと玲大に桜を見せてあげたいなって思っちゃった。


私は風に吹かれて散っていく桜の花びらたちを止める事もできないし

私たちの間を通り抜ける風を止める事もできない。


人間だから仕方ないけどちょっとだけ悔しかった。





「また来年も咲くよ。」
そうとしか言えなかった。
夢のない事を言ったなって自分でも思ったけどね。


ちょっとだけ間をおいて小さなため息をした玲大がしゃがみ込んだ。


「れーた…?」

『まぁ…また咲くのはわかんだけどな?』


なんだ、さっきの話しね。
そしたら玲大が地面に落ちていた花びらを一枚拾って立ち上がった。


『コイツらにはもう会えねーじゃん?』

って言ってすぐに花びらを風に乗せてしまった。


『一期一会な訳よ。』

「何それ?(笑)」

『ばっ、笑うなし!』


なんか今日の玲大カワイイ。

小さい時に戻ったみたい。

小さい時は今みたいな四字熟語言わなかったけど

自然の切なさとかを語るんだよね。


おじさんみたいに。
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