モノトーン
佑希の家までそんなに距離はない。
俺の家からなら一分だってかからないくらい近所だ。
あ、いる。
佑希ん家の前まで来て2階を見上げると明かりがついてる。
お邪魔でぇす、と玄関に入り無造作に靴を脱いだ。
さっきと違って自分でも驚くほど落ち着いてる。
階段を上がってすぐに佑希の部屋のドアがある。
久しぶりだ!
ドアにぶら下がった佑希の部屋の表札を見た瞬間にそう思った。
ゆっくりドアを開けるとそこには体育座りで頭を抱える佑希と側でいたわる尚大がいた。
「に、兄ちゃん!?」
俺に気づいた尚大の声がすごく遠くで聞こえた気がした。
『れ、れーた!?』
慌てて振り向いた佑希を見下ろす。
目が真っ赤で腫れてる。
何時間泣いてたの?
なんで泣いてたの?
なぁ、佑希…?
『ひぃ…っ』
気がついたら抱きしめてた。
心配したんだぞ?
これくらい許せ、あほ。
『やだ離せ、変態!!』
「無理」
離せない。
『変態変態!!』
「うるせ。」
変態だっていいよ。
お前が俺の事好きじゃなくてもいい。
でも見えるとこにはいてくれ。
「暴れんな」
腕の中で暴れる佑希に言い聞かせる。
『やっ!離し「心配した…」
言葉なんか今は聞きたくない。
俺の声を聞けよ。