モノトーン


佑希の事考えるだけで胸が痛くなる。

佑希が好きなんだって気付いた時からずっと…。



佑希もこの胸の痛みに耐えてたのかな…。




少しだけ戸を開けて中を覗いてみた。

机に顔を伏せたまま動かない佑希が教室にぽつんと一人だけ

いるとわかっていてもホッとした。


「ゆきー」
俺の声に気付いて佑希が上体を起こしてキョロキョロしてる。


『れ、れーた!?』
そんなに驚かなくても…(笑)。

『ま、待って?まだ入って来ないでね?』

「なぜだい?」

『だ…って…』

本当は俺にだってわかるよ?
どんな顔すればいいかわかんねーんだよな?


『モヤモヤすんだ?』

「佑希が、か?」

『うん…さっきはごめんね?私の事なんか気にしないで、ね?』

改まっちゃって
ちょっとかわいいなって思っちまった。

「俺はうれしかったけどな。」

戸に手をかけてゆっくりとそれを引いた。


佑希のカバンを持ち上げて

佑希の手を引いて

佑希を連れ出す

この教室から
重たくなった空間から



小さくなって泣いてたんだろ?
佑希の事だからわかるよ。
なんで泣きたい時に俺に隠れて泣くんだよ?



まぁ泣き顔は見られたくないもんだよな。
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