君の手。僕の手。
「璃香ぁー?まだ上履き見当たらんと?」
「うーん…」
私の曖昧な返事に彩華ははっと何かを思い出したかのように口を開いた。
「璃香!今日暇…?」
「えっ…うん、暇だよ」
「買い物いこーっ」
相変わらずの元気さに私も一気に笑みがこぼれた。
四時限目の数学。
先生の言葉が遠くなっていく…
"お腹すいたなー"
そう思いながら外を見ているとリュウジ先輩の姿が目に入り込んだ…。
「あ…」
なんでかな―…
好きな人って遠くにいてもすぐわかっちゃう。
リュウジ先輩がゴールを決めると歓声があがった。
先輩はこっちに向かって走ってきてる…わけないか。
黒板に目を向けて授業に集中しようとシャーペンを握り直した。
「…ぁ!!矢島ぁ!!1年矢島ぁ!!」
え?
もう一度外を見ると先輩は運動場から教室に向かって叫んでいた。
一階は職員室。
二階は1年。
三階は3年。
これって…余計やばいよね。
無視しようとしたけど先輩は諦めずに叫ぶ。