君の手。僕の手。
「ごめん起こした?」

「眠いー…」

龍也は寝ぼけたあたしの隣にもう一度寝た…

「璃香…」

龍也は優しく大きな手であたしの頬をなでた…

あたしは龍也にキスをした。

龍也はいつもより長くキスをした…

「ん…ッ」

龍也はゆっくりあたしを上から抱き締めた…

「…ハァ…ッ…」

息が出来ず苦しかった…

体が熱かった…

ただ龍也とキスすることで必死だった…。

「璃香…」

龍也はあたしの名前を読んであたしを見つめた…。

お互い寂しかった。

お互い辛かった。

龍也が我慢していることぐらいわかってた…

「好きだけん」

そう言って龍也はもう一度横に寝た…

「あたしも好き…」

龍也をぎゅぅっと抱き締めた…

ごめんね…

あたしまだ出来ない…

レイプされた傷はまだ深いままだった…。

それから抱き締めたまま眠りについた。

龍也の心臓の音。

龍也の腕の中の温もり。

頭をなでる龍也の手…

全てが幸せだった…。


明日が来なきゃいい。


そう思って龍也の服をぎゅっと握った…。



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