君の手。僕の手。

「嘘…」

私達が見たのはヒロが結美を抱き締めていた…。

そして結美が少し背伸びしてキスをした…

幸せそうに笑うヒロと結美がすごく…

羨ましかった…。

ヒロ達は手を繋ぎながらこっちに近付いた。


「今日から俺の彼女!」

そう言ってヒロが結美の頭をポンと叩いていた…

幸せそうに笑う二人…

そして複雑に入り交じるあたしの心…

今は祝福出来る状態じゃなかった…

涙がこぼれ…

ヒロ達を素直に祝福出来ない自分がむかついた…

それでも結美に近付いて結美に抱き付いて「おめでとお」と言った…

結美は笑顔だった…

幸せそうに笑ってた…

朝になり周りが明るくなってきた頃彩華の部屋に戻り龍也は荷物をまとめた…

「龍也もう帰るん?!」

聡君は驚きながら言った…

「まぁまたいつか来るけん!」

龍也はそう言いあたしの手を握った…

「行こうか」

あたしは龍也をバスセンターまで送る約束をしていた…

彩華の家からバスセンターまで遠かったからバスに乗って向かった…

バスの中で無言で手を繋いでいた…

龍也…帰らんで…

あたしまた一人になると…?
寂しいよ…龍也がいないと寂しい…。

握った手をずっと握り締め涙をこらえた。

龍也…行かんで…
一緒におって…。

何度も繰り返した…。



< 108 / 128 >

この作品をシェア

pagetop