君の手。僕の手。
「人の男…取りやがってッ」
ドスッ…
「んっ…ぁ…」
気が緩んでいたお腹に女の拳が入り込んだ…
頬が痛い。
お腹も…痛い。
「なんでお前なんだよッ」
「ゥェッ…」
いたーい痛い痛い痛い…
でも我慢するしかない。
我慢…?我慢ねぇ…
今までにない怒りが痛みを和らげてくれた。
「聞いてんのか?あ?」
殴る力は強くなる一方で口も切れて血が出てた。
「ッ…うっざ」
「あ?」
殴る手が止まり押さえてた2人の手の力も抜けていってた。
「うざいんだけど」
私はゆっくり立ち上がった。
「ねぇ、1年とか関係なくない?しかもあんたの男とか知らないし」
リュウジ…。
私はリュウジの女?
ただの遊び相手?
「お前がふざけんな」
初めて…本気で殴ったかもしれない。
初めて殴り合ったかもしれない。
いや…初めてだ。
気づいたら
女は倒れていた。
「ハァ…ッ…」
切れた口を押さえて私は部室を出て家に帰った。